年収の壁で働き控え、
してない?
目次
「年収の壁」で働き控え、していませんか?
「年収の壁」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、具体的な内容を皆さんは知っていますか?実際に「年収の壁」について理解できている人は全体の約3割という結果に対し、「年収の壁」を意識して働いている人は全体の約5割というデータもあります。
- 東京都産業労働局 いわゆる「年収の壁」に関する都民意識調査 より
賃金上昇に伴って、ますます働く時間を制限しようとしている方もいらっしゃるかもしれませんが、「年収の壁」を意識して、働き控えをすることがあなたにとって最適なのか、今一度考えてみませんか?
まずは「年収の壁」について理解し、自分にはどの働き方が一番あっているのか見ていきましょう。
まずは「年収の壁」について理解し、自分にはどの働き方が一番あっているのか見ていきましょう。
いわゆる「年収の壁」って何?
- 説明をわかりやすくするために、「夫の扶養に妻(自分)が入る・外れる」という仮定で記載しています。
夫と妻が逆になっても同様です。
1.年収110万の壁→年収119万円を超えると「住民税」が発生
住民税の金額は年収によって異なります。全額非課税になる条件は正確には自治体によって異なるので詳細が気になる方はお住まいの自治体ホームページで確認するのが安心です。
- 住民税=市民税・県民税
- 令和11年から114万円
2.年収”178万円”の壁→年収178万円を超えると「所得税」が発生
所得税の金額は年収によって異なります。 年収178万円以下の方は所得税が発生しません。
2026年から所得税の壁が大幅に引き上げられました。
3.年収106万円~130万円未満の壁 → 勤務先によっては社会保険加入
週20時間以上の労働で社会保険の加入対象となります。
被用者保険に加入すると後々、受け取れる年金額が増えるなどの様々なメリットもあります(詳細は後述)が、 今まで夫の扶養に入っていた場合や年収によっては、手取りが減る可能性があります。
- 条件内容:勤務先の企業の従業員数が51名以上(2024年10月より段階的に拡大した)、週の勤務時間が20時間以上で2ヶ月を超えて働く予定がある方(学生を除く)に限り、社会保険加入の対象となります。2026年10月からは106万円の壁の賃金要件8.8万が撤廃される予定です。
4.年収”130万円”の壁→年収130万円以上は「保険料(=国民健康保険、国民年金)」が発生
「国民年金」は一律215,040円/年です。「国民健康保険」の金額は年収によって異なります。
5.年収”169万円”の壁→年収169万円を超えると控除が減少
夫の扶養に入っている場合、年収169万円から徐々に夫の扶養控除額(配偶者特別控除額)が減っていき、年収207万円を超えると扶養から外れることになります。
それでも、保険(被用者保険)に加入するメリット
年収106万円〜130万円未満の壁にさしかかる際、保険(被用者保険)料を高いと感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は加入するメリットもたくさんあります。
メリット1:老後の受け取り年金額が増える
老後に受け取る年金には、基礎年金と厚生年金があり、どちらも原則65歳以降、一生涯もらえます。
被用者保険に加入することで、基礎年金に加え、厚生年金も受給することができます。
被用者保険に加入することで、基礎年金に加え、厚生年金も受給することができます。
平均年金受給額
基礎年金
713,172円(年)
基礎年金+厚生年金
1,813,704円(年)
- 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 より作成
- 基礎年金は満額受給できるものと仮定
厚生年金は、支払った厚生年金保険料と加入年数に応じて将来の受取額が決まるので、今から1年でも2年でも多く加入した分、老後に受け取る年金を増やすことができます 。
- 厚生年金を受給するためには老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間(10年)を満たしており、かつ、厚生年金の被保険者期間が1か月以上あることが必要です。
メリット2:傷病手当金がもらえる
もし病気やけがで働けなくなった場合、健康保険から傷病手当金がもらえます。働けない期間も一定の収入が得られるのは、嬉しいポイントです。
- 給付の対象となるのは、休業4日目から、通算で1年6カ月まで。金額は、過去12カ月の平均給与の3分の2で、対象となる日数分を受け取ることができます。
メリット3:出産手当金がもらえる
出産の際に産前・産後休業を取得でき、その間は出産手当金がもらえます。産前・産後休業は、出産予定日前6週間、出産の翌日から8週間で、出産手当金の金額は傷病手当金と同じ計算式で算出します。
被用者保険の中身を知った上で、加入有無を検討してみましょう。
被用者保険の中身を知った上で、加入有無を検討してみましょう。
妻の就業パターン別 世帯の生涯収入
先ほど月額の手取りについて紹介しましたが、生涯でみると働き方によって生涯年収はどのように変わってくるのでしょうか?
- 夫婦ともに22歳から就職していて、年金受け取り年齢は65歳として試算
- 夫は35歳時点で年収600万円(54歳まで一定のベースアップを考慮 55歳で昇給停止)妻は31歳までは年収は夫と同様。
- 妻が再就職の場合、夫婦ともに64歳まで就労。退職金は考慮しない
- 東京都「東京くらし方会議」の試算から
「1.生涯妻が働き続けた世帯」と「4.出産を機に妻が退職した世帯」とでは、生涯収入に約1.9億円の差が生じることがわかります。また、妻が出産を機に退職し、10年間の育児期間を経て再就職した場合、「年収の壁」を意識せずキャリアを継続する「2.(年収300万円)世帯」と、就業調整をする「3.(年収100万円)世帯」とでは、生涯収入に約3,000万円もの差が生じます。
制度改正により、以前より「年収の壁」を意識して働き控えるメリットは小さくなっています。長期的には、キャリアを継続して働く方が世帯の生涯収入は大きくなる傾向があります。
制度改正により、以前より「年収の壁」を意識して働き控えるメリットは小さくなっています。長期的には、キャリアを継続して働く方が世帯の生涯収入は大きくなる傾向があります。
「年収の壁」についてもっと知りたい方へ
ここまで色々紹介してきましたが、結局私の場合はどうすればいいの?と疑問に思っている方もいるかもしれませんね。そんな方は東京都が実施している「年収の壁」に関する支援をチェックしてみてください。電話やオンラインまたはメールで、社会保険労務士、税理士、ファイナンシャルプランナーといったお金のプロがあなたの相談にのってくれます。
都内在住・都内勤務の方
本人又は同居家族の「年収の壁」に関する以下のご相談を受け付けます。
税金に関するご相談
社会保険に関するご相談
ライフプランに関するご相談
「年収の壁」に関するその他のご相談
また随時オンラインセミナーも開催しており、「年収の壁」の基礎知識から、キャリア形成の重要性や被用者保険に加入するメリットなどを専門家が詳しく解説してくれます。
- 各回で専門家やテーマが異なります。
自分にあった働き方を考える
大事なことは「年収の壁」について正確に理解し、「年収の壁」を超えることのメリット・デメリットを認識することです。「年収の壁」を超えると手取りが減ってデメリットしかないと思っていた方も、被用者保険に加入した際のメリットなどを考慮すると実は扶養を外れて働くという選択肢が自分にはあっていると感じた人もいるでしょう。正しい知識をもった上で、自分のライフとキャリアのバランスを設計していきましょう。
2024年10月31日公開
2025年9月5日更新
2026年9月11日更新
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